みどりとちいちゃんの秘密(童話)

ある秋のこと。

いつものようにママの自転車に乗せられて、保育園からおうちへ帰る途中でした。
長くまっすぐに続く桜並木。

春のピンクの道も好きだけど、
今頃の黄色の道も、みどりは大好きでした。
そしてそのずっと向こうに、ぽっかりと開いたトンネル。
なんだか吸い込まれそうな感じです。

並木にさしかかったとき、
ふいに、黄色な葉っぱがみどりの目の前をかすめ、
自転車の前のカゴに入っていきました。

ひらり、ひらり・・・。
また、ひらり・・・。

あっ、入った!
次のもまた・・・。

舞い降りた葉っぱが、うまい具合いにカゴに入っていくのを見ていると、
みどりの頭には、運動会の「玉入れ」が浮かんできました。

カゴのついた棒が、まるで自分から玉を集めに行っているみたい・・・。
ママはまっすぐ走っているっていうのに、なんで入っちゃうんだろう?

それはそれは、終わらない光景でした。

葉っぱは
気まぐれな様子であちこち寄り道したり、
クルクル宙返りして見せたり、
大荒れの海の上の船のように、大きく左右に揺れたり・・・。
それでもちゃんとカゴに入っていくのです。

みどりは飽きもせず、不思議な気持ちで眺めていました。

でも、カゴがいっぱいになったら、葉っぱさんはどうなるんだろう?
そんなことをぼんやり思っていた時です。

あっ!

葉っぱが一枚、カゴからはずれ落ちてしまったのです。

みどりは足元をすくわれるような、変な感じがしました。

次の瞬間です。
地面がぱっと湖に変わったのです。
葉っぱがアスファルトにつく寸前の出来事でした。

あぁ良かった。
なぁんだ、落ちても平気なんだね
みどりはほっと胸をなでおろしました。

でも・・・アスファルトが湖になっちゃったら、
みどりとママが乗ってるこの自転車はどうなるの・・・!?
みどり、泳げないのに・・・。

みどりが覚えているのはそこまで。

あとでママから聞いたんだけど・・・
実際、みどりは身を乗り出し過ぎて、
補助いすから、まっさかさまに落ちてしまって、
落ちて少しの間、呼んでもお返事しなかったんだって。

でも、ヘルメットをかぶっていたし、
落ちたところに偶然、誰かが掃き集めた落ち葉の山があって、
みどりはケガしなくてすんだみたい。


「アスファルトが湖に変わったの、ママも見たでしょう!?」
そう聞いたけど、

「みどりにケガがなくて良かったわ・・・」って
みるみる涙目になってくママを見たら、
みどり、それ以上、何も聞けなくなっちゃったの。

おうちに着いて、ママはそそくさとお部屋の中へ。

みどりがヘルメットを脱いだ時です。
黄色の葉っぱが一枚、
ひらひらと、足元に落ちました。
みどりは思わず、しゃがんでそれを拾い上げました。

心配してくれてありがとう。

どこからか、小さくそんな声が聞こえて来た気がしました。

「どういたしまして」
みどりは、葉っぱに向かってペコリとおじぎしました。

「いつまでそこにいるの?早く手を洗ってらっしゃい」

ビニール袋をガサガサ言わせながら、ママはお買い物を片付け始めたようです。

「は~い」
今のこと、ママには、ナイショ。

話すのは、ねこのちいちゃんだけにしておこう。

大きなあくびを終えて伸びをするちいちゃんを見やりながら、
みどりは、ひとりうなずいて、にっこりと笑いました。

              

                             おわり




これは、私が文章を書くのが好きなことを覚えていてくれたMさんが、
ある大賞応募のパンフレットを手渡してくれたことで完成させることができた作品です。

去年の秋ごろに、ふっと浮かんだのですが、8割方でストップしていました。
書くのは好きだけど、読んでくれる人が居ないと、創作意欲もそこそこでとどまってしまうものですね。
でも、きっかけをもらったことで、背中を押された思いです。

私が書く気まぐれなブログや文章を楽しみにしてくれている人たちが居ることは、本当に嬉しいし励みになります。
みんな、いつもありがとう!!

そしてMさん、本当にありがとう。
これからも色々と、私を見守ってね。










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